静岡県島田市生まれの直木賞作家、永井紗耶子さん(47)が12日、同県藤枝市の市立広幡中学校で「『夢』『ことば』『私』を考える」をテーマに講演した。作家になるまでの歩みを紹介した永井さんは「あこがれの職業や将来の夢は変わることがあっても、その根本となる志は変えなくて良い」と生徒児童に呼びかけた。
小学校卒業時に作家を志した永井さんのデビューは33歳の時。新聞記者や雑誌記者などを経験し、絵本作りに備えて絵の勉強もしたという。
講演で永井さんは、会場の児童生徒に将来の夢を尋ねた。バレーボール選手やパティシエなどの答えを聞いた永井さんは、今後、外国語などいろいろなことを学ぶにつれて夢が変わっても良い、と話した。「夢を一途に追えなくなったり、興味がなくなっても自分を責めないで欲しい。ただ、誰かを幸せにしたいとか、当初の志は変えないことが自分の指針となるはずだ」と語りかけた。中学3年の小泉明さん(14)は「永井さんは自分の目標に向かって色々な寄り道をしながら進んだことが分かった」と感想を話した。
講演会は、広幡中の生徒や広幡小6年生、地域住民ら約400人が参加した。終了後の取材で永井さんは「夢を持って頑張ることも大事だが、夢に固執しない方が良いケースもある。現時点で夢を持っていなくても悪いことではないことを伝えたかった」と話した。(林国広)